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Cross&Crown LLCが中小企業再生事業を行うのは、
財務活動と事業活動を一緒くたに考えているコンサルティングファームがほとんどだからである。

結論から言えば、これはまったくの別物である。
これが分からないと、本来事業再生など出来るはずがないのだ。
企業価値を創出する上で多くの上場企業もここを誤って失敗している。

事業再生というのはその多くが資金繰り不良などの問題が発生した後の問題と捉えがちである。
このため債務の返済とその原資確保が喫緊の優先課題となる。
勢いB/Sの負債の部分ばかりに目が行くようだが、こことCFの改善を行うことで再生というコンサル会社が多いのは残念なことだ。

問題が起こるのは必ず原因があるからである。
そして原因には真因が存在する。

資金繰り不良や過大債務の裏には、営業不振や投資の失敗など様々な原因が存在する。
その原因にはまた過度に楽観的な事業予測や景気動向の見誤り、またリターンの過大な見積もりなどの原因があり、それらにもまたおのおの原因が存在する。
これを何度も繰り返すことでようやく真因と呼べるものに行き着くのだが、この真因を改善しない限り決して事業再生にはならない。

B/S改善の中で行われることの多くは財務活動である。
しかし財務活動が事業利益を生むわけではない。
事業は改善されてはいないのである。

昨日ライブドアの元社長、堀江氏が収監されたが、彼が一世を風靡していたころ「株主至上主義」という言葉が新聞や経済紙の紙面を踊った。
株主利益を最大化するという名目でROEの数字が着目され、企業はこの数字を拡大するために債務を増やし、株主資本比率を下げるなどの財務活動に積極的だった。
しかし景気が悪化するとこうした活動によって増加した負債が重荷となったり、脆弱な自己資本が災いして経営状況の悪化に直結していった。

彼らは何を誤ったのだろうか?
より簡単な手法にしか目を向けなかったことである。
ROEを向上させる上で分母の縮小は簡単な手法である。
分子のリターンを拡大するより容易なのだ。
分子の拡大には事業活動の見直し・改善が必要である。
これには時間がかかる上難しいため、より容易な財務活動によるROEの向上を図った。
しかし企業とは事業活動を行うために存在する組織であり、財務活動による改善というのは本質的な改善にはならない。
彼らはこれを忘れてしまったのだ。

中小企業再生も同様である。
財務活動による改善はとても簡単だ。
このため財務畑の人間がコンサルタントとして活動することも多い。
しかし多くの場合B/Sの悪化には事業活動の中での問題が真因として隠れている。
B/SもP/Lも過去の結果を表す数字でしかない。
問題は常に現在進行形、数字が生まれる前に既に発生しているのだ。

短期的な数字の改善にとらわれると、また難易度の高い作業から逃れようとすると、いつか企業はそのしっぺ返しを食らうこととなる。

財務活動と事業活動は別物であり、それゆえに共に改善が必要である。
事業再生とは、事業活動における原因・真因と、喫緊の財務課題という両面に対処していくことであり、これらをきちんと分けて考え、長期的な企業価値の創出、拡大にいたる道筋をつけることであろう。

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